萩の色を染める
−あい班−
 
平成21年4月23日、萩博物館内で活動するあい班を取材しました。
この日は班のミーティングと染色作業が行われましたが、その際、班長の冨川ヒサ子さんに質問して答えていただ
いた経過を以下にまとめました。
〔Q:取材・構成(藤山)、A:冨川さん〕
 
Q:あい班が生まれたきっかけはどのようなことからですか?
A:博物館の学芸員の清水さんから萩の色をのこしたいという希望があり、その第一歩として藍の栽培や染色につ
いての協力依頼があり、それでは、ということで仲間を募り昨年から始めました。
 
Q:メンバーにはどのような方が参加しておられますか?
A:NPOの会員(7人)ですが、その中に男性も2人参加しておられますよ。また清水さん、事務局の中家さんには、
いつも協力していただいています。
 
Q:博物館が藍染めをテーマに取り上げたのは、萩藩の産業の歴史とも関連がありそうですね。
A:はい、江戸時代の中ごろ、萩藩には藍玉座(あいたまざ)といわれる藍染製造所があり、そこで藍染の染料となる
藍玉を作っていたそうです。当時の資料によると、藍玉座は藍場(あいば)とも呼ばれていたそうで、そのためか、
その前を流れる川を、いつの間にか藍場川と呼ぶようになったと言われています。(下の写真:藍玉座跡)
藍玉座跡
 
Q:それであい班が誕生したいきさつが何となく分かってきました。つまり、萩藩には藍染めの独自の伝統が
あり、それを、現代によみがえらせようとしているわけですね。
A:そうなんです。私たちは「萩の色を染める」というテーマの下に、萩独自の色を見つけようとしています。その最初
の試みが藍染めだったというわけです。藍染以外にも柿しぶ染めなど、萩独自の色を探しています。
 
Q:博物館の畑でタデアイの葉を育てておられますね。育て方についてお尋ねします。
A:萩で育てた藍の葉を使って染めることが、萩の色を染めることになると思い、藍の種を蒔いてみんなで育ててい
ます。昨年は4月中旬に種をまいて水遣りなどをし、6月中旬には平均30〜40cmぐらいになったので、8月初旬から
刈り取りを始めました。刈り取った葉は生葉のままで染色したり、乾燥させたもので染色したりします。8月中旬にな
ると花が咲き始めたので、種用にも一部とっておきました。(下の写真:今年5月の藍葉)
今年5月の藍葉
 
Q:今日の作業はどのようなことをなさるのですか?
A:まず、生葉をミキサーにかけてこし、それに消石灰を入れて撹拌します。次に、ハイドロを入れ、泡が立つまで十
分撹拌し、それを染液にします。次に、染液に5分ほど布を浸した後、その布をしぼって10分ほど空気にさらし(酸
化)、ふたたび5分 ほど布を染液に浸してから水ですすぎ、十分絞って乾燥(天日干し)させて仕上げます。
 
Q:ご協力ありがとうございました。
 
作業風景を写真でご紹介します。
ミーティング中のメンバー
染液をつくる
布を染色する
(左)ミーティング中のメンバー    
(真ん中)染液をつくる
(右)布を染色する
 
布を空気にさらす
水洗いする
美しく仕上がった布
(左)布を空気にさらす
(真ん中)水洗いする
(右)美しく仕上がった布